トルクとは何か?

  • ホイールナットを締める際のトルクとは、回転軸に対してねじる力の強さのことを言います。
  • トルクは、かける力の大きさと、軸の中心から力点までの距離によって強さが変わり、単位は「N・m(kgf・m)」です。
  • ホイールナットをハブボルトに締付ける力の大きさは「トルク」で示されます。
  • 他にも、エンジンの回転力を表す指標にもなっています。

トルク管理を怠るとどうなる?

タイヤ交換を行う前に、規定トルクの情報を得る必要があります。緊急時におけるタイヤ交換であればトルク管理は困難ですが、履替えや、ローテーションを実施した場合はきちんと規定トルクで締付けられているかが重要です。ここでは、締め方が強すぎる場合と、足りない場合に分け、それぞれ起こりうる現象について解説します。

締めすぎのリスク

タイヤ交換後のホイールナットの締付で規定値以上の力をかけてしまうと、ハブボルトがねじ切れたり、ホイール側の座面がダメージを負ったりします。
ハブボルトの交換では、車種によって高額な修理費用が発生してしまうでしょう。ホイールも同様に高額なパーツで、交換となった場合はまとまった費用を要します。したがって、力いっぱい締付けることは避けましょう。

締め不足のリスク

ホイールナットの締めすぎも重大なトラブルに発展しますが、締め方が足りない場合はより重い現象へつながってしまうかもしれません。走行中にホイールナットが緩むと、ホイールの固定が甘くなり振動を感じるようになるでしょう。さらにそのまま放置するとタイヤが車両から外れ、車のコントロールを失ってしまいます。 最悪の場合、周囲を巻き込む大事故へと発展しかねないため、規定トルクを守ることが大切です。

タイヤ交換後に増し締め点検を実施するとより安心

タイヤ交換後にホイールナットを規定トルクで締め付けたとしても、走行の影響により、まれに若干緩むケースがあります。事故に直結するような致命的な緩みではないことがほとんどですが、念のため再度締付けておくと安心です。目安としてタイヤ交換後100km程度走行した際に、ホイールナットの増し締め点検することを推奨します。

トルクレンチの使い方

  • 1. ホイールナット及びハブボルトの締付トルクを車両の取扱説明書やカーディーラーで確認する。
  • 2. トルクレンチを適切な値に設定。
  • 3. L字レンチやクロスレンチを使いクロスパターン(対角線順)でナットを均等に仮締めする。この時、一度に締め込まずに各箇所均等に少しずつ締めて下さい。一度に締め込んで偏った締め付けになると走行中にホイールがブレて大変危険です。
    一番上を起点に対角線上で一番遠い箇所を繋ぐように締めこみます。
  • 4.
    車体を完全に降ろさずタイヤが接地する程度まで降ろします。一度に荷重を掛けると、ホイールのバランスが崩れることがあるります。また、タイヤが接地していない状態では仮締めが難しい為、タイヤを接地させます。
    ワンポイントアドバイス
    「クロスパターンで締める理由はホイールのバランスを取るため!」
  • 5. トルクレンチで本締めを行うトルクレンチのグリップ部の力点に力をかけゆっくり回す。設定トルク値に達すると音と共に感触があります。それ以上は、回さず次のナットを締め込みます。
  • 6. 完全に接地するまで車を降ろす。

トルクレンチ製品(EM-29)の紹介

トルクレンチとは、ボルトやねじなどの締付作業で「今どの程度の力で締付けているか」を測定するための工具です。単なる工具ではなく、圧力センサや距離センサなどと同様に物理値を測定する機能を持っているため精密機器に分類されます。あくまで作業時の締め付けトルクを確認するための工具であり、「すでに締め付けられているボルトやナットなどがどの程度の力で締付けられているか」を確認するための工具ではないことに注意が必要です。